インタビュー

ノベクタクル -ANOTHER EPISODE- インタビュー 靄太郎さん編

2016/05/24

ファタモルガーナの館 -Another Episode-』をリリースいただいた ノベクタクルの代表縹けいかさんに先日インタビューを行いましたが、別の視点から見たノベクタクルの歩みもちょっと知りたいなということで、『ノベクタクルインタビュー -Another Episode-』として、イラストを担当されている靄太郎さんにもインタビューしてみました。

靄太郎さんとはイベントで顔を合わせるくらいしかこれまでして来なかったので、一度ガッツリお話ししてみたい!ということで靄太郎さんに長々とお付き合いいただきました。

ノベクタクル 靄太郎アバター

 

靄太郎さんインタビュー

――今日はお忙しいところ、ありがとうございます。では、最初に自己紹介をお願いします。

ノベクタクルでキャラクターイラストを担当している 靄太郎です。普段はフリーのイラストレーターとして活動しています。生まれも育ちも兵庫県です。絵を志したきっかけとしては良くあるパターンで、子どものころからずっと落書きばかりしていました。

――やっぱり、小さい頃からイラストレーターを志されてたんですね。

ずっと強い思いで絵を描き続けてきたかっていうと、かなり中途半端なところがありまして。最初は漫画家を目指してたんですけど、途中から技術偏重主義になってしまったんですね。自分が満足するラインを越えてからじゃないと絵を表に出せなくなってたんです。その時代が長く続いて、応募に出せるようなものはいつまでも作らないし、そのうちにぬるま湯に浸かっちゃって、プロを目指すのも諦めていました。

高校を出てからは、就職活動もせずバイトをしていました。イラストとは関係のない、単純作業とかの仕事ですね。このままじゃいけないと二十代前半くらいに気付いたんですが、その頃にはもうプロとして要求されるレベルに手が届かなくなっていました。それでも、そこから頑張ってたら良かったんですが、結局やらなくって。実力主義の世界でやっていく自信がなかったんだと思います。

――じゃあ、描いた絵を発表したこと自体、ほとんどなかった。

TRPGの素材サイトをしばらく運営していたことがあったのですが、そこに載せていたことくらいですね。反応はそこそこありましたが、決して目立つほどではありませんでした。

ずっと漫画家になりたい、とか言ってはいたんですけど漫画の練習をしていたわけでもなくて。描きたいものは頭の中にあるんだけど、アウトプットできない……。縹さんが声をかけてくれるまでは、そういう状況でした。

――ノベクタクルはプロフェッショナル集団が集まってつくっていると思い込んでいたんですが、実際は全然違ったんですね。

全然そういう成り立ちではないですね。

――縹さんのインタビューでは、メンバーがどうだったかはわからないけど、ノベクタクルを始める時、自分は本気だったとおっしゃっていましたが、靄太郎さん自身はどうでした?

本気半分、遊び半分でした。どちらかというと遊びの方が大きかったですね。縹さんは私から見てそつなく立ち回る人だったので、大変って言ってるけどすぐステップアップしていくだろう、ノベクタクルは息抜きとかそういう感じなんだろうなと。……そんな感じで、僕は真剣にやりませんでしたね。

だから、はじめは温度差がすごくて、そのすり合わせに時間が掛かりました。縹さんが一生懸命進行管理してくれても、僕は遊びだと思ってますから、全然その通り進まない。何度か話をするうちに縹さんが本気であるのがわかってきた感じです。

だから、体験版を出すまでの2年間は長かったですよ。もともとの仲が良くなかったら解散してたと思います。ただ、僕自身は社会と縁のない生活をしていましたから、この人たちを失ったら本当に孤立してしまうなと考えるようにもなりました。それに、この機会を逃して自分が独力でやっていけるのかと考えて、ファタモルより真剣に取り組めるとも思えませんでした。

僕にもあの時にきっかけが必要で、『ファタモルガーナの館』を本気でつくらないと何も始まらなかったんじゃないでしょうか。

ファタモルガーナ最初期イラスト

 

――もともとノベルゲームはお好きでしたか?

いや、ノベルゲームを遊んだことはほとんどありませんでした。ゲームは好きでしたけど、流行りものを遊ぶくらいで。コミケに行ったこともありませんでしたし、同人ゲームもほとんど知らなかった。縹さんがいろんな同人ノベルゲームの資料を揃えてくれて、それで初めて知りました。

だから最初は、自分の絵がゲームに入るというのがイメージできませんでしたし、ゲーム画面が実際につくられるまでは、完成するイメージも湧きませんでした。資料そのままでしかイメージできなくて、そこに使われる自分の絵がどういうものなんだろうと。その辺は縹さんがかなり引っ張ってくれました。

――縹さんはノベクタクルをまとめるためにまずメンバーに自分がつくるものがすごいんだというのを示さなければならなかったと仰っていましたが、それがわかったのはいつごろでしたか?

ノベクタクル結成前から、Play by webを通してメンバーそれぞれが作品を見せ合っていましたから、つくるもののクオリティは大体わかっていたんです。だから、縹さんの書く文章、Mellok’nの作曲センス、がおさんの歌声がすごいんだっていうのは知っていました。

――では、『ファタモルガーナの館』の出来を確信できたのは結構早かったんでしょうか?

僕は変に自信過剰なところがあって、制作時から多少はいけるだろうと思っていました。というのも、自分のようなタイプのイラストはあまりなかったので、とりあえず目は惹くだろうと。あとは音楽と内容のよさで認めてもらえるだろうと思っていました。実際に体験版を出して見ると想像以上の反響をいただけて……。その時に、あ、これでいけるのかな、と。

ただ、みなみさん主催の 同人ゲームオブザイヤーにノミネートしていただいたときにいろんな作品を見て、驚きました。絵だけを見ても僕のよりよっぽど目を惹く作品がたくさんあったんです。だから、自信を得つつもまだまだだなと思いましたね。

――イラストレーターとしての活動はいつからスタートされたんでしょう。

フリーのイラストレーターとして最初に仕事をしたのは、2011年ですね。ノベクタクルを通じて知り合った方に紹介して頂いた仕事でした。ノベクタクルはそれぞれが食べていけるようにしよう、というのが目的でしたし、私の最初の目標はそれで達成させていただきました。

靄太郎さん初仕事

 

『ファタモルガーナの館』のリリース後はありがたいことに、予想外の展開をさせていただくことになり、今はファタモルづけの状態でやっています。

とは言え、ノベクタクルの活動だけで食べていけてるわけではないので、個人のイラストレーターとしてもっと独り立ちしないといけないですね。

――イラストレーター靄太郎としては、今後どんな展開を考えられていますか?

イラストレーターとしてはどんなことでもやろうと思っています。この人はこれができる、ではなくて、この人はこういうのが得意だけど、こういうのもできる、というタイプになりたいんです。

個人的にも、やりたいことはたくさんあるんです。ゲームももちろんつくりたいし、ドットやアニメーションの技術も取り入れたい。静的なシーンより動的演出の方が強く印象づけられるとずっと考えています。ALICE IN DISSONANCEさんの『Fault』ってノベルゲームがあるんですが、ノベルゲームとは思えない動的ギミックがたくさんあるんです。あれをプレイした後だと、ただの一枚絵では物足りなくなってしまって、今すごく参考にしたい作品の一つです。また、さっきも少しお話ししましたが、昔から頭の中にある設定というか世界観があって、ずっと出せないままでいたものだったんですけど、それを出していきたいと思っています。それをしないと、精神的にも先に進めないんじゃないかと。

――では、最後になりますが、最新の靄太郎さんの活動をお知らせください。

GA文庫さんから1月14日に発売される『ファタモルガーナの館~あなたの原典に至る物語V~』をよろしくお願いいたします! それとMF文庫Jさんから3巻まで出ている縹さんのモーテシリーズを宣伝したい(笑)。僕は一切かかわっていないのですが、あの作品は本当に素晴らしいのでぜひ読んでみてください。

クロワルールシグマ

クロワルール・シグマ

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